二度死にかけた

私は、二度死にかけた。

一度目は4歳の時。私の記憶にはないが、母が後日話していた。

「手を口と鼻にあてて、息をしているかどうか、たびたび確かめた。」と。また、

「万一のことがあれば、(母が自分で)出刃包丁で(自分の)胸を突き刺し死ぬつもりだった」と。とてもヤバかった状態だったようだ。

二度目は、中学生の時。

「今晩が山です。」と主治医が、私の目の前で、母に伝えていた。

後日主治医が「すばらしい心臓と肺ですね」と言われた。

その後も、九死に一生を得たことが二度あった。このころから「生かされている」と感じ始め、その「意味」を考え始めていた。

    寒風にねじ干しつくり汗が出る

    寒行の声高けれど袈裟は逆               (つづく)